「お母さんが帰ってこない…」「ゴミ山で眠る子どもたち」シングルマザー家庭の《ゴミ屋敷》を片付ける業者が見た、“切なすぎる事情”

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「ビールの空き缶が山のように溜まっている部屋がありました。寝室には布団がひとつ敷かれていましたが、その周りも生ゴミ。子ども部屋にも生ゴミが放置されたままで、勉強机の上にあった惣菜の残り物には白いカビが生えていました」

ゴミ屋敷
おびただしい量の酒の空き缶が散乱している(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

母親は育児放棄していたのではないか。この惨状を見れば、そう考えてしまう人が少なくないはずだ。ただ、二見氏は「それは第三者の勝手な推測にすぎません」と話す。

「この母親は仕事がかなり忙しく、片付けが苦手で、人に頼ることができない性格だったんです。片付けのとき、子どもたちにも会いました。子どもたちは母親のことが大好きだったし、母親も子どもたちのことを愛していました。だからこそ、こうやって僕らに片付けの依頼をしているわけです。私はこの母親が育児放棄しているとは思っていません」

ゴミ屋敷
子どもたちはどのような暮らしをしていたのか(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

家に帰ってこないシングルマザー

イーブイは月に約130軒のゴミ屋敷を片付けている。シングルマザーが依頼をしてくるケースは決して珍しいものではなく、中には二見氏自身、つい憤ってしまうような現場もあったという。

大阪市内にあるマンションを片付けてほしいと女性から連絡を受けて見積もりへ行くと、家では小学生の子どもが1人で待っていた。

「見積もりの日、事前に母親に電話をしても一切出ないんです。マンションまで行ってインターホンを押すと、子どもが出てきました。『お母さん、どこ?』と聞くと、『あんまり帰ってこない』と話していました。ようやく母親が電話に出たかと思うと、『勝手に入っていいから片付けといて』って言うんです。でも、そういうわけにはいきません」

ゴミ屋敷
こちらは小学校に通う3人の子どもとシングルマザーが住む3Kのマンション。大量のゴキブリが発生していた(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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