TSUTAYA、誤解と憶測に満ちた会社の正体 メディアに出ないCCC増田社長が口を開く
そういうことを考えて、決めた。ネットでできることはジリ貧になるからやめる。逆にネットじゃできないことを企画会社として掘り起こすと。音楽と一緒で、書店の環境もすごく変わったじゃない? アマゾンも電子書籍もあるでしょう。この状況下で過去と同じようにやっていては、CD店と同じ未来が待っているよ。
――ではどんな未来を目指すのでしょうか。
これからお客さんは、本を並べて売るだけの書店を評価しなくなる。じゃあどうするかというと、まずは「来たくなる」書店にすること。特に人口が多いプレミアエイジ(中高年層)が来たくなるようにしないと。
代官山についてはよく、「カフェで本をタダ読みさせているから売れていない」と言われるけれど、実際には坪月商30万円だよ。あんな立地で、ほかにそんな店ある? 代官山には商品、空間、それからもてなしがあるから。イノベーションを起こすのには執念がいる。代官山をやるときも、役員は全員反対だったんだから。でも俺たちは経験値がまったくないことを、試行錯誤してここまでやってきた。
直営の蔦屋書店は、いわばR&D
ここまで直営で展開してきた蔦屋書店は、いわばR&D(研究開発)なの。そこで試行錯誤した結果のノウハウを集約した儲かる店について、浦和(11月25日開業)でやって、それをFCが展開していく。書店業界でこんなに真面目にR&Dをやっている企業がほかにあるだろうか。コストもかかるし、上場していたら、絶対に説明不能だったよね(注・CCCは2011年にMBOで上場を廃止している)。
すごいことでしょう。このご時世に、これから100店、しかもでかい店を出そうとしている。ここで書店が「自分たちはこれだけやっている、成果も出した」と言えるようになったら、そこでやっと出版社に「これだけ本を買い切って売るから(注・書店は基本的に書籍を返品できる)、もうちょっとマージンを見直して、利益を上げさせてよ」と交渉できる。出版取次(卸)とも話ができる。ただ、それは二の次。まずはお客さんに来てもらうようにする。
――常々、経営とは失敗を許容することだ、と言ってきました。
マンションの家賃を毎月もらうような仕事なら、何も挑戦しなくてもいい。だけど、やったことがないことに挑戦したら、当然失敗する。成功するのは、1000回に3回ぐらいしかない。成功するためには、失敗は必要悪。だから挑戦する人たちは、必ず失敗する。だけど試行錯誤する中で成長もしていく。それが知的資本経営というもの。
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