TSUTAYA、誤解と憶測に満ちた会社の正体 メディアに出ないCCC増田社長が口を開く
がちがちの運営ではうまくいかないよ。だって何が正しいかなんて、わからない世の中だから。「そちらに行ってはいけない」と、ついこの間まで言っていた方向に、気がついたら行かなくちゃいけないような時代じゃない? ついこの間まで、スマートフォン(スマホ)なんて存在しなかった。そんな変化が起こっている。特に俺たちはエンタテインメントを扱っているのだから、変化を受け入れる「のりしろ」が多くないと。
もうひとつ重要なのは、TSUTAYAは加盟企業を公に募集していないということ。創業時からそうだし、今もそう。つまりここまでの成長は、既存企業が多店舗展開した結果。これから代官山にあるような蔦屋書店を100店展開するけれど、それもCCCがすべて直営するのではなくて、既存の書店(FC)さんが変わっていく。
で、FCさんがなぜ多店舗展開できるのかと言ったら、それは儲かるから。
――どうして儲かるのですか。
顧客価値がある、つまりお客さんが行きたい店であるということ。経営者って普通は、どうやったらお客さんが来るかを考え、「お客さんが何人来た!」ってことを喜ぶけれど、俺は「俺なら行きたいか?」を考える。顧客にとっての価値を考えている、企画している。だからCCCは企画会社。そして、そのノウハウを、FC企業やパートナー企業に提供している。
イノベーションには執念がいる
ターニングポイントは代官山・蔦屋書店を出す前に行った、米ニューヨークの光景なんだ。通りを歩いていると、ヴァージン・メガストアーズ(CDチェーン)がなくなっていたり、バーンズ・アンド・ノーブル(書店チェーン)の商品が少なくなっていたり。
CD店が消えた引き金はもちろん、インターネット配信やネット通販がきっかけ。チェーンを経営している企業は赤字になって、これでは続けられないと思って店を閉める。本当はお客さんはいたのよ。でも店を閉めて、お客さんがみんなネット側へ行くかというと、そうじゃない。結果として、一挙にお客さんが減る。そうするとCDメーカーは売り上げがガーンと下がるから、「取引条件を何とか変えねば」とあがく。するとCD店はまた減って、産業がますますシュリンクしていく……。
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