ベネシュ氏によれば、ガバナンスは優れた業績をもたらす何百もの要因の1つに過ぎない。
東芝とは逆に、キヤノンのガバナンスは米国基準に照らせばいま1つだった。しかし、同社は一貫して超優良会社であり続けている。グローバルな競争に直面しているため、効率的かつ機敏に行動しなければ生き残れないことが主因だ。
日本政府と東京証券取引所は、株主利益の保護だけでなく企業の効率性向上を目的に、各種のガバナンス改善策を講じている。ベネシュ氏は「今後5年で大きな変化があるだろう」と、改革の将来について楽観的だ。
彼によると、「生産性と収益性の向上を達成するにはコーポレートガバナンスが重要である、と政府が明確に示した」点が、何よりも大切なポイントなのだという。
ベネシュ氏も前述の外国人と同様、社外取締役制度を歓迎する企業は当初100~300社にとどまると見る。ただ、「社外取締役が影響力を発揮できるかどうかは、株主に大きく依存している」と指摘する。
「株主が声を上げれば」
「日本の株主は大きな権利を持っており、株主が声を上げれば状況を変えられる。社外取締役は最低限3人必要だ。1人だけだと、10人からいる社員取締役の意見に逆らうのは極めて困難だからだ」
しかし、日本企業は現預金を潤沢に保有しているのが一般的で、資金調達を株主に頼る必要性は薄い。このため、株主の意見に耳を貸さない経営者がいた場合、株主側は有効な対抗手段をほとんど持っていない。
ベネシュ氏はこうした実情を認めつつも、「一般大衆の称賛や道徳的非難などの動きがメディアを介して拡大するなどして、こうした障害を克服する可能性がある」と、あくまで期待感を示した。
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