劇場版「鬼滅の刃」が公開3週目で“興収の伸び率が鈍化”の必然 歴史的ロケットスタートの一方、“前作超えに黄信号”が点る理由は?
同週末より公開された人気テレビドラマの劇場版続編『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』、ディズニーの夏の本命である『星つなぎのエリオ』など、夏休み大作映画の封切りとともに、シネコンは本来のスクリーン編成に戻った。
同時に、この2週間、午前中や夜だけになっていたそのほかの公開中の夏休み映画も、それぞれ上映回数を増やしている。

興収400億円超えの前作との“明白な違い”

このスクリーン数の減少は、今作の動員数の週を経た変動の結果ではなく、シネコン運営が当初より予定していた流れなのだろう。
公開週末は、世の中的な話題作によるビジネスチャンスを最大限活かすために全スクリーンを開ける。しかし、夏休み映画はほかにも続々と公開される。それらを観たい観客も大勢いるから、多様性が求められるシネコンはそれに応えなくてはならない。1週目の“鬼滅スクリーンシフト”は2週目で数を減らし、3週目ではほぼ通常へ戻す。そうした戦略があったに違いない。
ここからの今作のスクリーン数は、通常規模になる。それでも他作品に比べて大きく興収を伸ばしていくのは間違いないが、その伸びはスクリーン占拠していた2週目までより小さくなる。同時に、この先は前作と比較して興収の伸びは鈍化するだろう。
前作公開時、コロナ禍の渦中にあったシネコンは、ハリウッド大作の供給がストップし、製作が滞った邦画大作の数も限られ、新作の数が圧倒的に少なかった。そんな新作が枯渇した状況のなか、延々とスクリーン占拠が続いた。前作の興収は、コロナ禍による特殊な環境の影響が極めて大きい。
新作が毎週どんどん公開される平時のいま、今作を取り巻く環境は前作と大きく異なる。そんななか、どこまで数字を伸ばせるか。どこまで前作に迫れるかが、これからの注目ポイントになりそうだ。
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