〈見逃された不正〉監査法人・VC・証券会社・東証…オルツに続々とだまされた深層 "単純な構図"になぜ気づかなかったのか
他方で、オルツはVCなどの株主や大和証券、東証に虚偽の説明を行っていた。
2022年4月に実施された資金調達に向けた説明資料では、
東証の山道裕己CEOは7月30日の定例会見で、「上層部がみんな一緒になって、意図的に悪意を持ってだまそうとした場合には監査法人ですら見抜けないわけだから、それをもって審査の妥当性がないとはまったく思わない。ここまで徹底してやられるとなかなか事前には察知できない」と弁明している。
不正をすんなりと受け入れたCFO
こうした中、興味深い指摘をするのは、米倉氏の後に社長に就いた最高財務責任者(CFO)の日置友輔氏と接点もあったという市場関係者だ。
この関係者が報告書のポイントの1つとして挙げるのが、2021年10月に日置氏がオルツに入社した途端、それまで社内では米倉氏を含め3人しか知らなかったスキームの全容を知らされ、日置氏もこのスキームをすんなり受け入れたことだ。「普通は大手証券出身者がこのスキームで上場を目指すと聞かされて
創業した米倉氏はともかく、CFOの日置氏もあっさりとスキームの中心人物になったことが、不正をより暴きにくくした可能性はある。
今回の不正は、2009年に粉飾決算が発覚し、IPOからわずか半年で上場廃止となった半導体メーカー、エフオーアイのケースと極めて近いと指摘される。東証の山道CEOは「こういう人たちはつねに出てくるので根絶できない」というが、監査法人やVC、証券会社、東証には個人投資家を巻き込んだ責任がある。それぞれ妄信しすぎたポイントがなかったか、改めて検証することが求められる。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら