
(本記事は「会社四季報オンライン」でも配信しています)
近年は原材料費、人件費、光熱費、物流費などさまざまなコストが上昇している。株主への責任を負う上場企業は、そうしたインフレ局面下でも、いかにコストを抑えながらもうけを出せるかが問われる。
そこで今回は9月18日発売の『会社四季報』2025年4集(秋号)の巻頭特集から、「利益率改善度ランキング」を紹介する。着目したのは「売上高営業利益率」。売上高に対する営業利益(=本業のもうけ)の割合で、この率が高ければ高いほど収益力が高く、効率よく利益を稼げている企業であることを意味する。
ランキングでは各社の営業利益率について、直近の通期実績とそれ以前の過去5期平均を比較したポイント差を「改善度」とし、改善度の大きい順に50社をピックアップした(※銀行の場合には経常利益率で、IFRSで営業利益率を出していない企業は税前利益率で利益率を算出)。
ライセンス事業はインフレ局面でも強い
1位は「ハローキティ」等のキャラクターで知られるサンリオ(8136)。営業利益率は過去5期平均の9.2%に対して2025年3月期は35.8%となり、26.6ポイント上昇した。主要キャラクターだけに頼らない「複数キャラクター戦略」を推し進めており、それが利益率の大幅な改善につながっているようだ。
複数キャラ戦略によって人気キャラを増やすことは、ライセンスの付与先を拡大するうえで大きなプラスになる。売上高に占める「ライセンス事業を中心とするロイヤリティ収入」の比率は2023年3月期の37.9%から、2025年3月期は48.8%にまで高まった。
そもそもライセンスビジネスは、一般的にインフレに強い。自社で製品を直接製造するわけではないため、製造原価などの変動費は原則的にかからない。主な費用は管理費や営業活動費などに限定されるので、コスト上昇の直接的な影響を受けにくい。
他方で、ライセンスの付与先がコスト上昇を価格に転嫁すれば、売上に連動して支払われるロイヤリティ収入(ライセンスフィー)が膨らむ。順調にライセンス事業を伸ばしているサンリオは、多くの企業では逆風になりがちなインフレをむしろ味方にできているとも言えるだろう。
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