「こんなだったっけ?」「喪黒福造がやや可愛らしい」実写版『笑ゥせぇるすまん』に賛否も、毒気が“あえて抜かれている”理由
初回ということもあり、原作リスペクトしつつ、コンプライアンスに留意してややブラックは控えめ。原作やアニメ版が好きな人にとっては、「泥水のようなコーヒー」のような、飲み干せない渋さがもっとほしいというところであろうか。でも、やっぱり令和7年のいまは配信をもってしてもそれが難しいようだ。
人間の果てしない欲望を嗤う。第2話「シーソーゲーム」は、原作の魅力を生かした令和オリジナル。これも宮藤がメインライターだ。
庵地英治(千葉雄大)よりも年上の妻・肌野羽里世(斉藤由貴)は、喪黒から「シワあわせパック」をもらって見た目の年齢差を埋めていく。もっともっとと若返る欲望に抗えなくなる年上の妻を演じる斉藤由貴の情念芝居が物語に合っていた。

序盤の3話分は見た目の印象を題材にした内容が並んだ。たのもしい顔に若返りパックと来て、第3話「ソックリさん」(マギーがメインライター)は少しひねって見得をテーマにしている。三重岳ハルオ(本郷奏多)は、大ファンの俳優(あの)とそっくりな女性を喪黒に紹介してもらう。
この3作はいずれも表層に振り回される人間たちの物語。昭和から平成にかけての人気作をリメイクするにあたり、オリジナルの表層だけなぞるのではなく、本質に迫れるか。視聴者も今回の実写版の立て付けに惑わされず、何を嗅ぎ取れるのか。そんなことを考えさせられるラインナップだ。
第5話からいきなり様相が変わる
第4話「決断ステッキ」(細川徹がメインライター)は、ちょっと目先が変わって優柔不断がテーマ。決断できない大井真宵(黒島結菜)が、喪黒から授かった決断ステッキで最適な選択ができるようになったものの……。
配信ドラマ『SICK’S』や映画『夏目アラタの結婚』に見られる、黒島結菜のどこか他者からの感情移入を拒否するような独特な雰囲気がオチを効果的に見せている。
第1話から4話までのどの作品にも、「人間万事塞翁が馬」というような警鐘があって、そこは『笑ゥせぇるすまん』らしいと思ったが、第5話になると、いきなり大きく飛躍する。
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