「こんなだったっけ?」「喪黒福造がやや可愛らしい」実写版『笑ゥせぇるすまん』に賛否も、毒気が“あえて抜かれている”理由

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『笑ゥせぇるすまん』の漫画が誕生したのは、1960年代の終わり(前身となる作品が発表された)。1980年代の終わりにアニメ化されて大人気に。過去にも実写化されたことがある。最近では舞台版も作られ、息の長い名作だ。

今回の実写版『笑ゥせぇるすまん』も、脚本、キャストからして勝ち目しかないと思った視聴者も多かったはず。筆者もその1人。配信開始の日を心待ちにした。ところが、である。蓋を開けてみたら意外と賛否両論だったのだ。

いい作品ほど賛否両論あるという。先述したノリのいい主題歌を歌って踊る喪黒福造はダークさが薄まって、ややかわいいキャラクターになっていることをはじめとして、内容も原作ファンにはやや“コレジャナイ”感があるようだ。

笑ゥせぇるすまん
ゲストキャストは豪華な俳優陣が揃っている(画像:テレビ東京公式サイトの予告動画より)

一方、原作を通っていない人にとっては4人の作家の技が光る良質なコントとして楽しめる。つまり、昭和の怪作を令和にアップデートして新たな視聴者を獲得するという意味では大成功しているといえるだろう。

と同時に、令和の視聴者が求めるものは風刺や諧謔(かいぎゃく)、ペーソスや毒ではなく、あくまでも軽みのあるコントなのだということも端的に示している

そのように時代は大きく変化し、昭和はもはや遠く、平成すら遠ざかっているという残酷な現実を突きつけたという意味では、『笑ゥせぇるすまん』の本質を捉えているとも言えるのではないだろうか。

原作リスペクトしつつ、ややブラック控えめ

「ドーーン」

喪黒福造の決めセリフ(掛け声)のように、現代社会を生きる人間が悩みを解消し欲望を満たした末に突き落とされる奈落。望みを叶えることと引き換えに喪黒との約束を守らなければならないが、人はつい過ちを犯してしまう。それは時代を経ても変わらない。

全12話、各24分の短編で見やすい。第1話は、原作でも人気の高い、アニメ版でも第1話だった「たのもしい顔」を、宮藤官九郎がメインライターとして現代を舞台に書き換えた。

たのもしい顔立ちを持ったため周囲から分不相応な期待を寄せられ悩んでいる頼母子雄介(山本耕史)に喪黒がもたらしたものは……。

笑ゥせぇるすまん
初回のゲストキャストは山本耕史(画像:テレビ東京公式サイトの予告動画より)
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