衆参両院でいよいよ止まらなくなった"多党化"現象、「自民一強」崩壊の先に待つ2つの政局シナリオ
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、第2次安倍政権が崩壊。菅義偉政権、岸田文雄政権と引き継がれた中で、自民党派閥の裏金問題が発覚した。2024年に石破政権が発足したが、同年の衆院選で与党は過半数割れ(自民191、公明24)。立憲148、維新38、国民28などとなった。
「自民一強」が終わり、「自民 vs. 立憲」、あるいは多党化の様相が見えてきた。そして今回の参院選である。
参院選はもともと、東京都のように改選数6の選挙区がある一方で、1人の議員を選ぶ「1人区」が全国に32ある。さらに全国比例があり、小政党でも議席を確保しやすい。その特徴を生かす形で多党化が進んだのである。
このように、現行の衆参両院の選挙制度は2大政党にも多党化にも動きうる柔軟性を持っている。その時々の各党代表のリーダーシップや政策課題によって、変化する可能性があるのだ。
多党化の先に浮かぶ2つの政局シナリオ
では、今後はどうなるのか。自民党が「ポスト石破」を選ぶ総裁選を経ても苦境を脱することができずに党勢が低迷すれば、保守票は参政党や国民民主党などに分散するだろう。野党側も立憲民主党が国民民主党などを束ねられないと、非自民の受け皿は整わない。その結果、多党化が一層進むことになる。
与野党の合従連衡の中で、政権与党は多数派づくりのために一部の野党に連立協議を持ちかける。透明性の高い話し合いを進め、具体的な合意文書などをまとめる作業が不可欠だが、日本の政党政治の歴史はそうした経験が欠けている。
一方、可能性は小さいものの、次のような展開もありうる。自民党が新しいリーダーの下で立ち直り、保守勢力を結集。野党側は立憲民主党と国民民主党が連携し、非自民勢力の大きな塊ができる。かつての「自民党 vs. 民主党」と同様の2大政党の構図が復活するという展開だ。
日本の政治はいま、重い政策課題を抱えている。物価高、少子高齢化、財政健全化、社会保障改革、トランプ政権への対応、防衛力の整備……。参院選の結果を受けて、政治家たちには、「多党化は止まらない」といった論評を続けるのではなく、果敢に政策課題に取り組み、成果を上げていくことが求められている。
今回の参院選で進んだ多党化は、当面、進行していくだろう。だが、多数派づくりに手間取って、有権者の間で「決められない政治」といった不満が募る可能性がある。その結果、大政党への再結集が進み、2大政党への回帰が起こるかもしれない。政治家の判断次第で政党政治の形が変化し、政策決定にも影響を及ぼす。その責任は重大であることを自覚すべきである。
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