衆参両院でいよいよ止まらなくなった"多党化"現象、「自民一強」崩壊の先に待つ2つの政局シナリオ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

石破首相はアメリカのトランプ政権との関税交渉で合意にこぎつけたことを受けて、今後は国内対策などを進める構え。だが、物価高対策などを盛り込む補正予算は成立のメドが経っておらず、石破政権は早晩行き詰まるだろう。

その場合、自民党は石破氏に代わる後継の総裁・首相を選ぶことになる。だが、衆参両院で少数与党という現状の中では、誰が首相になっても政策遂行は困難を極めそうだ。

衆院でも「自民一強」から多党化へ

リクルート事件などの政治スキャンダルを受けて、衆院に小選挙区比例代表並立制を導入することを柱とする政治改革関連法が成立したのが1994年。1996年に同制度による衆院選が初めて実施され、2024年までに計10回の選挙が重ねられた。2003年の衆院選では、自民党237に対し、民主党が歴代の野党では最大勢力となる177に達し、「自民党 vs. 民主党」の2大政党が対決する構図が見え始めた。

次の2005年衆院選(小泉純一郎首相による「郵政解散」)では、自民党296に対し民主党が113にとどまったが、2009年には自民党119に対し民主党が308で圧勝。政権交代が実現した。

ただ、民主党政権は混乱が続き、2012年には自民党が294を獲得し、第2次安倍晋三政権が誕生。民主党は57と惨敗した。

第2次安倍政権は、2014年、2017年の衆院選も勝ち抜き、自民党の「一強政治」が続いた。2大政党は遠のいたかに見えた。

この間、大阪を中心とする日本維新の会も台頭。獲得議席は、2012年の衆院選に54、2014年に41となった。

現行の衆院選の定数は選挙区289、ブロック比例176。1議席を争う小選挙区では勝ちにくい小政党も、比例なら一定の当選者を確保できる。さらに維新のように、近畿圏で影響力を持つ勢力が数十議席を確保できる制度となっている。

イギリスのように完全小選挙区制なら小政党が議席を得るのは難しいが、日本の場合は小政党でも生き残る余地がある。柔軟性の高い制度といえるのである。その結果、「自民党 vs. 民主党」の2大政党による対決構図が崩れた後、多党化が進む余地が生まれていた。

次ページ多党化の先に待つ2つのシナリオ
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事