「男性は下痢をしがちで、女性は便秘の人が多い」というイメージは、医学的に説明がつくのか?

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アルコールが下痢を引き起こすことも多いので、お酒を多く飲む方は男女問わず下痢になりがち、ということもあります。

「排便中枢」への作用が男女によって異なることも

そこにさらに、別のファクターもありました。岐阜大学の志水泰武先生が行われたマウスの実験で出た研究結果なのですが、自律神経の働き(神経伝達物質の働き)によって、男女に差が見られることがあるようなのです。

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通常の状態では、副交感神経が優位の時にぜん動運動が促され、排便が起こるのですが、逆の働きにふれてしまうことがあるようです。

男性は、幸せホルモンのひとつ、ドーパミンが非常に出やすいのですが、ドーパミンは、神経全体を活性化させるように働きます。

すると、脊髄からつながる排便中枢もドーパミンによって活性化するため、腸のぜん動運動が激しくなりすぎてしまい、下痢になりやすいというわけです。

女性の場合は、ドーパミンが男性ほど大量には出ず、GABA(γ-アミノ酪酸)を多く分泌します。

この成分は最近、チョコレートなどにも含まれているので、ご存知の方も多いでしょう。GABAは、排便中枢に対して、逆に抑制するよう働くため、腸のぜん動運動が抑えられてしまい、便秘傾向になりやすいということなのです。

GABAは、近年リラックスさせる働きがあると注目を集めている成分なので、何となく副交感神経を優位にしてくれるように感じますが、排便中枢に関しては逆に作用することがある、という結果なんですね。

やはり神経系というのはとても繊細なので、ほんの微妙な環境の違いや条件の違いで、まったく正反対の働きをすることもあるのです。

川本 徹 犀星の杜クリニック六本木院長

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かわもと とおる / Toru Kawamoto

1987年筑波大学医学専門学群卒業。専門は消化器外科。みなと芝クリニック院長などを経て、2022年より犀星の杜クリニック六本木院長。著書に『結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』など.

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