「男性は下痢をしがちで、女性は便秘の人が多い」というイメージは、医学的に説明がつくのか?

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「お腹を壊して下痢をした」という時、みなさんはお腹のどこで下痢が起きたのかなんて気にしないですよね。でも、医学的な話をすると、下痢は小腸に原因があって起こる場合と大腸に原因がある場合の2パターンあり、その見極めが治療の際の大切なポイントになります。

まず、小腸で起こる場合は、食べ物と一緒に入って来た細菌やウイルスが出す毒素が原因です。その毒素が小腸で炎症を起こすのです。

毒素や炎症反応によって出てくる物質などが、小腸内側の腸壁の粘膜を刺激します。すると、刺激された腸粘膜からは、大量の粘液が分泌されます。

実は小腸は、平常時でも1日に8〜9リットルくらいの粘液を分泌しています。その粘液は、そのまま大腸へ入っていき、そこで再吸収されています。ところが、小腸で何かトラブルがあり、粘液の分泌量がいつもよりどっと増えると、大腸に入ってきた時にすべてを吸収しきれず、そのまま便と一緒に出てきてしまうのです。

下痢の時は出てくるものの大半が水分のように感じるかもしれませんが、そこには腸の粘液もかなり含まれているのです。

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一方、大腸で起こる場合は、細菌性の下痢が最も多いと言われます。

例えばO-157のような病原性大腸菌や、チフス菌、コレラ菌など、毒性の強い細菌が大腸に入り、水分を吸収する大腸の内側の粘膜を破綻させてしまうことで、水分が吸収できない状態になり、下痢になるのです。

内側の粘膜を破綻させるというのは、単に荒れた状態にすることもありますが、潰瘍のようなものができることもあります。いずれにしても粘膜が傷つくため、出血が起こります。ですから医者は、同じ下痢でも血便が混じっている場合は、大腸が原因の下痢という風に考えるのです。

下痢を起こさないようコントロールすることは、便秘を解消するよりもなかなか難しいことです。細菌やウイルスが体内に入らないよう、食べ物の種類や衛生面に気をつけることは最低限の予防になりますが、細菌ではなくても、自分の体質、腸内環境に合わないものが入った時に下痢を起こすこともあります。

乳糖不耐症の人が乳製品を食べるとお腹を壊してしまうといったように、「自分はこれを食べるとお腹を壊すことが多いな」というものがあるのかどうか、日ごろから意識して観察し、覚えておくことも大切です。

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