「ちょいダサ、だがそれがいい」「最近、高級化した?」衣料品チェーン《しまむら》が2年連続最高益で、密かに“勝ち続けている”ワケ

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「CLOSSHI」の「ファイバードライシリーズ」や洗濯を繰り返してもよれにくいことを売りにした「ヘビロテ」シリーズ、そしていわゆる高価格帯PB「CLOSSHI PREMIUM」の販売が伸びていることが、客単価を若干上げています。これが既存店の売り上げを伸ばすことにつながっているのです。

しまむら
さまざまなものをPBでは開発している(筆者撮影)

その結果、2025年3月は全国的に天候不順で売り上げは前年を割ったものの、4月以降は再び売り上げを伸ばしています。単に安い商品を販売する「低価格のしまむら」ではなく、「“ちょっといいもの”も買えるしまむら」に変化しつつある、というのが同社の商品力に表れています。

しまむらはインフルエンサーやキャラクターコラボ、特徴のある商品の投入などで、客層の拡大につなげています。

女性アスリートの体形をきれいに見せるファッションブランド「KINGLILY」を立ち上げた、元アマチュア女子レスリングのトップ選手・おかだゆりさんをモデル兼インフルエンサーに起用したり、ヘアメイクアップアーティストのイガリシノブさんプロデュースの洋服を販売したりするなど、ファッションやビューティー分野で活躍するインフルエンサーの活用にも積極的です。

前述したように広告比率は抑えながら、デジタル販促やこれらのコラボを組み合わせて、確実に集客につなげているのです。

しまむら
店内に掲示されているおかだゆりさんのコーディネートPOP(筆者撮影)
しまむら
イガリシノブさんがプロデュースした商品たち(筆者撮影)

意外と「マニュアル至上主義」

実は、しまむらはマニュアル至上主義の会社です。これは30年以上前に同社の営業トップの役員から直接教えていただきました。

同社のマニュアルは、基本的に「従業員からの提案がもとになって出来上がっている」というものです。同社はM社員というパート社員が8割の会社です。1つの店舗は店長1名と6~10名のM社員で運営されています。そしてほとんどの店長はM社員から生まれています。

つまり、パートとして入った主婦層がしまむらで働くうちにどんどん戦力化され、そのまま店長になっていくのです。以前は9割と言っていましたが今でも7割の店長がM社員から生まれているそうです。

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