歯科医院は「斜陽産業」なのか? 倒産・休廃業が過去最多ペースの背景にある“本当の理由”

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次に、経営者の高齢化が挙げられるという。

「経営者の平均年齢が60歳を超えるなど高齢化が進んでいます。2024年の「休廃業・解散」となった歯科医院の代表者年齢は、69.3歳と70歳に迫っているほどです。また、歯科医院は、家族経営のケースが多く、後継者不足問題に悩まされるところも少なくない」

過去最多のペースで淘汰が進んでいる――ということは、斜陽の業界として受け取られかねない。結果、歯科衛生士を含め、人材を確保できずに廃業する歯科医院も多いと髙橋氏は話す。

さらには、昨今の円安状況によって、虫歯治療で使う銀やパラジウムといった合金など、材料費の高騰も経営を圧迫している一因だといい、複合的な理由が重なることで、歯科医院は瀬戸際に立たされている。

だが、こうした理由は、「あくまで表面的なもの」と髙橋氏は語る。

コンビニより多い歯科医院

「そもそも歯科医院の数が多すぎるんですね。2024年時点で、全国にコンビニは約5万5000店あります。一方、歯科医院は6万6000~6万8000軒ある。歯科医院はコンビニより多い。そうした状況下で、治療する人が減っているわけですから、供給過剰になることは明白でした。つまり、治療とは異なるビジネスモデルを作らなければ、今後生き残ることは難しくなっていきます」

事実、「しん治歯科医院」は、治療に加え、予防に重点を置くことで成長を遂げた背景を持つ。同院は、口の健康を求めて予防をしに来る人を増やすために、歯科治療のアシスタント的な存在になりがちな歯科衛生士を主役にするビジネスモデルを作り出した。歯科衛生士は、「歯科予防処置」「保健指導」「診療補助」「口腔機能訓練」を行う、言わば予防歯科、健康づくりのプロフェッショナルだ。

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