脱常識!なぜ無印良品は世界で売れるのか? ヨーロッパではドライバーセットが超人気

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具体的には、MUJIの場合、売り上げに対する家賃の比率を15%以下に抑えられる場所でなければ原則的に出店しません。これを徹底してから、アジアでもヨーロッパでも、新しい店舗は1年半程度で黒字にできるようになりましたから、必勝パターンのひとつと言えるのではないかと思います。

一等地で家賃を抑える方法もある

海外の家賃は、日本とはまったく契約の条件が違います。しかも国ごとに違うので注意が必要です。

良品計画・前会長の松井忠三氏

ロンドンでは借り手が多く、貸し手が少ないので、20年か25年契約という強気の設定です。途中解約はできず、もし撤退したい場合は、代わりのテナントを探してこなければなりません。ところが、そのテナントが撤退をすると、また我々に家賃の支払い義務がかかってくるという条件になっているのです。

「MUJIはロンドンで何十年も愛される店になるはずだから、大丈夫だ」と考えてはいけません。ビジネスは変動するものなので、絶好調のときに合わせて考えるのではなく、もしものときを想定して契約等を考えておくべきです。

コスト(家賃)は抑えたい。しかし、一等地に進出したい――これらを両取りするのは難しいように思えますが、ひとつだけ方法があります。

それは、一等地の中で、“1丁目1番地”ではなく、2番目、3番目の物件を探して出店することです。

1丁目1番地、つまり集客力のある1階の路面店に出店できるのは、やはりルイ・ヴィトンなどの高級ブランドです。彼らならそれだけの家賃を払っても黒字にできるでしょう。しかし、そのような高級ブランドではない場合は、売り上げと家賃のバランスを考えるとどうしても無理があります。

実際に香港のハーバーシティでは、1階にプラダ、4階にMUJIという立地になっています。中国の他の場所でも、1階に高級ブランド、2階にMUJIとなっている例は珍しくありません。

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