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放置された空き家でも「貴重な文化財」、解体寸前だった戦前木造モダニズム建築「三岸家住宅アトリエ」。孫娘が必死に模索する継承

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愛子さんの手元には2007年の日付のあるハウスメーカーの見積書等一式が残されているが、結局、その計画は陽の目を見ないことになった。2009年に行われた中野区教育委員会による歴史的建造物調査をきっかけに愛子さんの気持ちがアトリエを残していく方向に変わっていったからである。

正面が、裏手にあるカーサ・ビアンカ側から見た増築部分。右手がもともとのアトリエ部分(写真:©三岸アトリエ 撮影/千葉正人)
もうひとつの玄関。長らくベニヤ板で塞がれていたが、愛子さんが母にかつての様子を思い出してもらい、似たような形で再現(写真:©三岸アトリエ 撮影/千葉正人)

「最初、調査に来た人から『貴重な文化財だから絶対に壊さないでください、修復して残しましょう』と言われた時には戸惑いました。

でも、そういえば測量に来たハウスメーカーの若い人も『僕にはこの建物は壊せません』と言っていたことを思い出し、この建物には価値があるのかもしれないと思うようになりました」(愛子さん)

増築された暖炉のある応接室。フランスの民家風に造られている(写真:©三岸アトリエ 撮影/千葉正人)
2階の窓も手の込んだものになっている(写真:©三岸アトリエ 撮影/千葉正人)

開かれたアトリエに

それまで愛子さんはデベロッパーでWeb関連の仕事をしており、古い建物は取り壊されて新しく建て替えられるものという考えがあった。

しかし、アトリエに関心を持って訪れる人たちと話をしたり、歴史的建造物の保存活動を行う専門家や団体と交流を持つにつれ、考えは変わっていった。

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