これまで私は数多くの人に巻き込まれてきましたが、そのなかには巻き込んでくれた当人とは直接仕事をしないパターンがあります。たとえば、巻き込んでくれた人の部下と仕事をする場合です。異業種交流会などで出合った人が、私を部下とつなげてくれることも割とあります。
ただ、この場合は、けっこう要注意です。
巻き込んでくれた人は、当然、私に対してポジティブな印象を持っていますが、部下は何とも思っていません。「上司から紹介されたから、しかたなく」なんて思われていることもあります。
部下の気持ちを考えたら当然のことかもしれませんが、やはりそのような態度の人に巻き込まれてしまっても、遅かれ早かれトラブルが起こるだけです。
言っていることが違う
まさにそんな典型例がありました。
相手は40代の女性(ここではAさんとします)。いつもスーツとヒールで身を固め、仕事ができるオーラであふれています。私に仕事を依頼してくれた、ある会社の部長さんの部下にあたります。
彼女のことを最初に「ヤバいな」と感じたのは、発言が人によってころころ変わるところでした。
会社のブランディング戦略のインナー調査(社員が自社のブランディングについてどのように思っているのかを知るための調査)に関する打ち合わせでのこと。
「性別」を尋ねる際に、「男性」と「女性」に加え、多様性を尊重して「その他・答えたくない」を選択肢に入れることがあります。ですが、社内調査用の場合は、むしろ性的指向を他人に知られたくないため、「その他・答えたくない」は省くことが一般的です。
そのため、私も「男性」「女性」の選択肢のみにすることを提案したのですが、Aさんは「この多様性の時代、LGBTQへの配慮がないのは時代錯誤です。『その他・答えたくない』の選択肢を省くなんて信じられない」と反対してきました。
「そこまでおっしゃるなら」と、私は性別の選択肢を「男性」「女性」「その他・答えたくない」にした調査票を作成し、Aさんの部長さんも交えた打ち合わせがはじまりました。
部長「この性別の『その他・答えたくない』って、必要ありますか?」
私「Aさんから、ジェンダーレスな時代だから配慮すべきだというご意見がありまして」
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