3つめの理由も「SNS」が絡んでいます。
SNSによって、相手の過去の情報にも簡単にアクアスできるので、恋愛にはつきものの「一方的な妄想や情熱」も膨らみにくい。いざ付き合っても、SNSで何かと不必要な情報まで耳に入ってくるので、疑心暗鬼になったり、相手への束縛が激しくなったりします。
「既視感」というキーワードを使うと理解しやすいのですが、ネット上に氾濫する情報によって、まだ体験していないのに体験したつもりになったり、知ったつもりになったりする傾向があります。その分、「妄想力」や「行動力」がそがれてしまう。恋愛に限らず、20代の間で海外旅行などへの意欲が減退しているのも、この「既視感」が一因と考えられます。
「さとり世代」とは、かつての若者がよくも悪くも持つことができた、「無謀さ」を失った世代と言えるのかもしれません。リスクヘッジやコスパについて考えすぎてしまい、「野性的行動」や「無駄」という名の豊かさまで失ってしまっているのです。
恋愛離れの結果、「異性重視」から「同性重視」へ
以上、3つの視点から「さとり世代が恋愛しにくい理由」を考えてきました。では、「恋愛離れ」の結果、20代若者の間で何が起こっているのか。
それは「異性重視」から「同性重視」へのシフトです。
異性よりも同性とつながり合うほうが、リスクも少なく居心地がいい。「女子会」という言葉が社会にすっかり浸透しましたが、「同性重視の人間関係」はさらに広がりを見せ、今では「男子会」という言葉も生まれています。
「気持ちはわかるが、気になる異性がいれば、もっと自分から声をかければいいだろう?」「『当たって砕けろ』じゃない?」などと、つい上の世代は考えがちですが、20代には20代の「事情」があります。
人間はついつい「自分たちの価値観」「自分が過ごした時代背景」を基に物事を考えてしまいがちですが、相手が置かれている状況を知らなければ、きちんと理解することはできません。
逆に言えば、各世代が置かれた時代背景や歴史を知り、特徴や価値観を知ることができれば、「違う世代」と付き合うための、理解するための「大きな武器」になります。
「20代の若者のことはよくわからない」とあきらめる前に、あるいは「ゆとり世代だからダメなんだ」と決めつける前に、ぜひ、彼ら彼女らが置かれている状況を知ってください。そうすれば、部下や後輩、息子や娘など、「身近な20代」が違って見えてくるはずです。
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