団塊世代のリタイアがいっせいに始まった2007年ごろから、「団塊消費」について語られることが増えました。
「巨額な退職金がマーケットに流れ込む」「大きな消費の流れが起こるのではないか」――。
2007年当初は期待ほど大きな波は起きませんでしたが、それが今、動き始めています。訪日外国人の陰に隠れていますが、その象徴は国内旅行の盛り上がりで、JR九州の「ななつ星in九州」のメイン顧客は50・60代です。今年は金沢新幹線も大盛り上がりです。
われわれの調査でも「退職金の半分は貯金する」という結果が出ていますが、ある意味それは当然です。リタイアと同時に湯水のごとくおカネを使い出す人など、いるはずがありませんから。
ただし同じ調査では「定年生活全体では、定年直後の1.5倍はおカネを使う」という結果も出ており、うまく団塊世代の「急所」をつけば、大きな消費の波が起こる可能性があるのです。
振り返れば、団塊世代は若いときからジーンズにビートルズ、ミニスカートにアンノン族、グルメブームと、つねに消費文化をリードしてきました。また、家庭の面では「ニューファミリー」という新しいライフスタイルもつくり出してきました。
しかし、読者の方にも思い当たる節があるように、60代「団塊世代」は、自分がよしとしないものには1円でも払いたくないのです。おカネはあるのに地下鉄で神田へ行き、古本屋街をブラブラして何も買わないで帰る男性、スーパーで数円の違いに「この店はやけに高いわね」と不満をぶつける女性も少なくありません。長らく1円でも安いものを買うのを自慢してきたために「定価で買うのはコケンにかかわる」という世代でもあるのです。
では、どうすれば普段は“1円も使いたくない”60代「団塊世代」の財布をこじ開けることができるのか? どの「急所」を突けば、財布のひもがゆるむのか?
今回は、団塊消費の「3つの急所」を解説します。
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