オフィス家具メーカーのイトーキが1985年から製造する物流ロボット、売上346億円を支える冷凍倉庫向け技術とは

イトーキという社名を聞いて何を思い浮かべるだろうか。オフィスチェア? デスク? 確かにその通りだ。だが実は、連結売上高1385億円のうち約4分の1にあたる346億円(24.9%)を物流ロボットなど設備機器事業が占めている。しかも冷凍倉庫向けでは日本トップクラスの技術力を持つ。


滋賀県近江八幡市にあるイトーキ関西工場に併設された開発拠点「APセンター」。
7月上旬、筆者がその巨大な建屋に足を踏み入れると、天井高10メートルの空間で金属製のシャトルが「ガシャン」と音を立てて垂直に駆け上がっていた。
「これが当社のSAS(シャトル式自動倉庫システム)です。加速度は8.6m/s²。ほぼ自由落下に近い速度で昇降します」
設備機器事業本部の中村元紀本部長が誇らしげに語る。目の前で稼働するのは、イトーキが1985年から製造し続ける物流自動化システムだ。
40年前から続く「自動化」への挑戦
イトーキの自動化技術の歴史は意外に古い。1972年、アメリカの企業との技術提携により、文書を自動で取り出すシステム「システマトリーブ」を開発した。当時はまだ「メカトロニクス」という言葉さえ一般的でなかった時代だ。
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