オフィス家具メーカーのイトーキが1985年から製造する物流ロボット、売上346億円を支える冷凍倉庫向け技術とは
シャトルが自動で商品を運び、商品が“人に向かって”やって来る仕組み(=GTP方式、Goods to Person)により、作業の効率化と身体的負担の軽減を同時に実現している。
工場内の試験ラインでデモンストレーションを見せてもらった。透明なアクリル板で覆われたエリア内で、緑色の車輪を持つシャトルがオレンジ色のコンテナを載せて動き始めた。
コンベア上を段ボール箱が流れ、複数階層のラックを縦横に移動する様子が確認できる。実際の現場では1時間に600個のペースで商品が出庫され、作業員は定位置で待機するだけで次々と商品が運ばれてくるという。
中小企業向けに新型機「X-NR」投入
イトーキは2026年の発売に向けて、新型の自動倉庫システム「X-NR」を開発中だ。従来のSASに比べて保管密度を10%向上させながら、コストを20%削減した。
「これまでの自動倉庫は大規模物流センター向けが中心でした。X-NRは中規模倉庫や製造業の工場内物流にも導入しやすい価格帯を実現します」(中村本部長)
シャトル台車自体に昇降機能を持たせることで、3次元的なピッキングが可能になった。高さの異なる商品を効率的に保管でき、スペース効率が大幅に向上する。筆者が見学した試作機では、従来比100ミリの薄型化も実現していた。
イトーキの自動化技術は、物流分野以外にも応用されている。その代表例が、2025年4月に発売された薬剤自動ピッキングシステム「DAP with MediMonitor」だ。
調剤薬局では、薬剤師が棚から薬を取り出す「対物業務」に全体の40%の時間を費やしている。DAPは8つの出庫ポートを持ち、処方箋データを入力すると自動で薬剤を搬送する。重量センサーとカメラによる三重の監査機能により、調剤ミスも防止できる。
「くすりの福太郎様に導入いただいた店舗では、調剤時間を大幅に短縮できました。薬剤師不足が深刻な地方でも、限られた人員で質の高いサービスを提供できます」(大澤幸一設備機器企画管理部技術主幹)

無料会員登録はこちら
ログインはこちら