オフィス家具メーカーのイトーキが1985年から製造する物流ロボット、売上346億円を支える冷凍倉庫向け技術とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さらに意外な応用先が、美術館・博物館向けの展示ケース「Artivista」だ。東京国立博物館にも納入されたこのケースは、開口率90%という業界最大の開閉機能を持つ。学芸員が重い仏像などを入れ替える際の負担を大幅に軽減した。

「展示ケースも実は『自動化』の一種なんです。電動昇降機能により、腰をかがめることなく展示品を設置できる。ストロークは990ミリ。これも当社の昇降技術があってこそ実現できました」(石濱慶設備機器営業統括部パブリック販売室長)

Artivista
美術館・博物館向けの展示ケース「Artivista」(筆者撮影)

有事に備える「1.4トンの扉」

もう一つ、イトーキの知られざる事業が防災シェルター向けの特殊扉だ。2024年に開発された「BOUNCEBACK」は、重量1.4トンでありながら手動で開閉できる防爆扉である。

BOUNCEBACK
核攻撃も想定した防爆扉を開発している(筆者撮影)

「爆風圧76トン/m²、水深10メートルの水圧にも耐えます。日本のシェルター普及率はほぼゼロですが、世界情勢を考えると需要は高まるでしょう」(水石政夫設備機器営業統括部特殊設備販売部長)

実は特殊扉もイトーキの伝統事業だ。1959年に金庫扉工場を開設して以来、原子力施設向けなど全国3000基以上の実績がある。岐阜県の核融合科学研究所には、重量720トンという世界最重量の扉も納入している。

国内の自動倉庫市場は約1800億円規模で、年率6~8%で成長している。世界シェア1位のダイフクが圧倒的な存在感を示す中、イトーキのポジションはどうか。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事