《疲弊する現代人に》東大卒の名門校教師がおすすめする“哲学のハードルを下げてくれる本”5冊

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能力と選抜という今の社会の大前提を一度取り払って考えてみることで、働くことへの希望が少し持てるようになる1冊だと思います。

⑤仲谷鳰『やがて君になる』(KADOKAWA)

最後に、これまでの本とは違った角度から漫画を紹介したいと思います。

やがて君になる(1) (電撃コミックスNEXT)
『やがて君になる(1) (電撃コミックスNEXT)』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

この作品は高校の生徒会を舞台とした学園もので、誰のことも特別に思えない少女と、自分自身のことが嫌いなために他人からの好意を受け入れられない少女の2人を軸に展開していきます。

自己理解や他者理解、恋愛、役割演技といった人間関係にまつわるテーマが高い解像度で描かれており、文学性の高い作品です。

私の倫理の授業では、この作品のアニメ版を一部視聴して考察をしてもらったこともあります。

哲学の考え方に触れたいと思った時に難解な哲学書にチャレンジすることも大切ですが、フィクション作品の方が人間のリアルな感情や奇想天外なシチュエーションを描きやすい面もあります。『マンガは哲学する』(永井均著/岩波現代文庫)や『SFマンガで倫理学』(萬屋博喜著/さくら舎)など、漫画を切り口にした哲学入門書もあるので、漫画やアニメなどが好きな方はそうした角度から入門するのも面白いのではないでしょうか。

前田 圭介 かえつ有明高等学校・社会科教員

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まえだ けいすけ / Keisuke Maeda

社会科教師。東京大学教育学部卒・同大学院教育学研究科比較教育社会学コース修士課程修了。大学で公民科教育についての論文・実践研究・学会発表を行っていたが、現場での実践にこだわり、教壇で教鞭を執ることに。早稲田大学本庄高等学院・栄光学園中学高等学校・早稲田大学高等学院などの名門進学校で講師として勤務し、現在はかえつ有明高等学校の社会科教員を務める。「すべての学習に教養と哲学を」をコンセプトとした統合型学習塾「知窓学舎」にも携わっている。

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