「参政党の支持者は頭が悪い」と言う人もいるが…支持されるのには理由がある!参政党人気「理解できない」人が見誤る熱狂の"本質"

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2024年衆院選における国民民主党の大躍進が極めて象徴的であった。「手取りを増やす」をスローガンに掲げ、「103万円の壁」を178万円に引き上げることを主要政策として訴えた結果、比例代表では11ブロックすべてで議席を獲得し、獲得議席数は小選挙区(11議席)と比例代表(17議席)の合計28議席となり、公示前の4倍にまで膨れ上がった。

なぜか。それは国民民主党の玉木雄一郎代表が自著で語っているように、学生や若い会社員などからの声を直接政策に反映したからである。

「電気代を下げようと訴えたのは、学生さんの声がきっかけでした。ガソリン代についても、長崎に行った時、ガソリンスタンドの人に聞いた話から始まった政策」だとし、「普通の人たちの声が、どんなコンサルタントの意見よりも重要」と述べている(玉木雄一郎著、山田厚俊編『「手取りを増やす政治」が日本を変える 国民とともに』河出書房新社)。

これは、サイレント・マジョリティのうちの、とりわけ「忘れられた人々」をかなり意識した手法といえる。「忘れられた人々」とは、「失われた30年」とともに少しずつ不利な境遇へと追いやられていると感じている人々であり、現在の生活から転落する不安にさらされている人々までを含みながら拡大しつつある。

「ハイブリッド型のポピュリズム」

筆者は、国民民主党の大躍進を分析した記事(玉木氏「不倫報道」も無傷?国民民主が大躍進の訳)で、「ハイブリッド型のポピュリズム」と名付けた。人気取り型のポピュリズムと反既得権型のポピュリズムという2つを上手く組み合わせた点が絶妙だったからだ。

要するに、「103万円の壁」を事実上のシングルイシュー(単一論点)政策とすることで広く国民に訴求しながら、国民重視の裏返として(国民民主党の公約に否定的な立場を取る)メディアや政党などに対する批判を展開していくスタンスである。

筆者は、前出の調査の「自国は衰退している」「既存の政党や政治家は、私のような人間を気にかけていない」と感じる人々のうちの一定数が国民民主党を押し上げたとみている。

振り返れば、2019年参院選で台頭したれいわ新選組、NHKから国民を守る党(当時)が先駆けであった。ポピュリズム政党が国政の舞台に押し上げられるのは、このままでは自分たちが「忘れ去られてしまう」という焦燥感からである。参政党が掲げる「日本人ファースト」は、排外主義というより前出の調査における「自国は衰退している」「既存の政党や政治家は、私のような人間を気にかけていない」という感情からの反動なのだ。

その内実は「わたしたちをもっと大切にしろ」ということであり、自尊心の回復が目指されている。それがより鮮明になる限りにおいて外国人というカテゴリーが持ち出されているような印象がある。そこには、自民党がもはや保守政党の体をなしていないことや、先の見えない物価高と相次ぐ増税という経済的な被災によって、国民生活が破壊されているにもかかわらず、国民に寄り添った政策を何ら実行しないことへの強烈な不信と不満がある。

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