「結婚はしない」が「結婚したい」に変わる30代女子のリアル――「10年後、20年後も1人」「このまま年をとっていく」焦りと不安のなかで…

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今の20~30代は、「あなたは、あなたらしく」と言われて育ってきた世代だ。2003年にリリースされ、大ヒットした『世界に一つだけの花』は、まさにその価値観を象徴する一曲だろう。

しかし、結婚は、“自分らしさ”だけでは成り立たない。夫婦関係というのは、お互いの考え方や生き方に歩み寄り、ときにはゆずり合い、受け入れ合いながら、ともに形を作り上げていく営みだ。

また、今は気軽に婚活できるポータルサイトが数多く存在し、選択肢があふれすぎているのも結婚しづらい状況を作っている。

“自分が自分らしくいられる結婚相手”など、本来は存在しえない幻想なのだが、いくらでも出会えるので、それを追い求めて出会いを繰り返していく。そして、結局決められない“婚活迷子”に陥っている。

さらに、経済的な不安定さも、若者たちの結婚にブレーキをかけている要因だろう。

深刻な人手不足に直面しているにもかかわらず、多くの企業が“安くて使い勝手のいい”非正規雇用の労働力に依存している。その結果、非正規雇用者は、将来の生活設計が立てにくく、“婚活して結婚する”という舞台には上がってこない。

正社員で働いていたとしても、十分な収入がなければ、パートナーや家族を支える自信が持てないので、自然と結婚に踏み出す勇気を失う。さらに、子どもを育てるには、それ相応の経済力が必要だという現実が、若い世代をますます結婚から遠ざけている。

こうした要因を1つひとつ見ていくと、婚姻率や出生率の低下には、もはや歯止めがきかないのではないかという、暗い気持ちにとらわれるのだけれども、そんな時代のなかでも、「結婚したい」と願う人たちは、確かに存在している。

1人で除夜の鐘を聞く寂しさ

半年ほど前に、入会面談にやってきたまい(38歳、仮名)が、こう話し始めた。

「結婚って、“いい人がいたらしたい”という気持ちはあったけど、年を重ねるにつれて、“誰かに合わせるより、1人で生きる方が性に合っているかな”って思うようになったんです。これだけ自由に生きてきちゃうと、人に合わせて生活するのは窮屈に感じて」

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