(第40回)スリム化で復活するアメリカ自動車産業

こうして、自動車は、先進国に残る。残るだけでなく、経済的合理性に反して増大することもある。実際、アメリカでは、図に見るように、製造業が傾向的に雇用を減少させてゆく中で、90年代の半ばから自動車産業の雇用は増加した。

日本企業は過剰雇用を抱える

経済危機で大きな打撃を受けたのは、日本の製造業も同じだ。輸出依存度が高いため、日本の製造業のほうが打撃を受けた。

しかし、アメリカの自動車産業と違って、日本の製造業はスリム化で対応することをしなかった。逆に、企業内に過剰雇用を抱えこんだ。

それは、失業率の数字に明確に表れている。アメリカの失業率が改善しても8%台であるのに対して、日本の失業率は4%台だ。

企業内の過剰雇用は、政府の政策によって支えられた。まず、雇用調整助成金の支給条件が緩和され、休業中の従業員に対する給与が補助された。愛知、静岡、岐阜など(連載第38回の図で、赤で示した製造業雇用者比率20%以上の地域)で計画届け出件数が多いのを見ると、この政策の主たる対象は、自動車産業であると考えられる。さらに、自動車に対してエコカー減税やエコカー補助が行われ、家電に対してエコポイント制度が実施された(経済危機後、アメリカでも自動車購入の補助が行われたが、短期間で終了した)。

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