(第40回)スリム化で復活するアメリカ自動車産業

日本企業の利益率が低い大きな理由は、過剰人員が残存しているからだ。利益率が低ければ、新事業展開のための投資はできない。だから、従来の事業を続け、じり貧になる。日本では、企業に雇用維持の責任が負わされ、その結果、悪循環が生じているのである。

アメリカでは、失業を顕在化しつつ、企業の利益を増やし、産業構造の転換をはかる。しかし、日本ではそうしたプロセスは働かない。産業構造が変わるとき、失業率が高まるのは不可避である。だから、失業率の低さだけを求めるべきではない。

誤解がないように付け加えるが、私は、失業率が高い方がよいと言っているのではない。企業が雇用を維持することで守られるのは、すでに雇用されている人たちである。これから就職する若い世代の人々は、対象外だ。しわ寄せは、若い世代にくることを忘れてはならない。

野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授■1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省(現財務省)入省。72年米イェール大学経済学博士号取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より現職。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書は『金融危機の本質は何か』、『「超」整理法』、『1940体制』など多数。(写真:尾形文繁)

(週刊東洋経済2012年3月24日号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。Photo:© General Motors.
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