【生ける伝説】フランシス・フォード・コッポラ監督 『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』華々しいキャリアの一方、自己破産もした激動人生
――主演のアダム・ドライバーさんに対して「勇気が足りない」「リスクを恐れるな」と鼓舞していたそうですが、それはやはり映画づくりにおいて平凡であることや、無難であることはよくないと思っているということなのでしょうか?
それは結局、映画を観るお客さんに、退屈でありふれた映画を見せたくない、ということに尽きる。わたしは複雑で理解不能な映画に惹かれてしまう。たとえば素晴らしい本や映画を見ても、それが理解できないときもあると思う。でもだからこそまた読む、また観るということにつながるのではないだろうか。
つい最近も、わたしの息子(ロマン・コッポラ)が関わったウェス・アンダーソン監督の『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』という映画があったが、これはとてもすばらしい作品だった。もっと理解したいなという気持ちが湧きあがったので、もう一回観たいと思っている。
すでに知っていることをあえて観たいとは思わないし、経験したいわけでもない。それはある意味、ファストフードのようなもので、ポテトチップスはいつも同じ味で中毒性があるということだ。実をいうとそういった映画のつくり方もあるわけだが、わたしはそういう映画を作っているわけではない。

許される限り、生き続けたい
――後悔のない人生をしたいとのことですが、今のコッポラ監督の人生はしあわせですか? それともまだまだやり残したことがあるのでしょうか?
素晴らしい人生、愛のある人生だったと思う。ただしそれには痛みも伴うわけだ。愛する人を失うこともあった。でもそれが人間だということなのだと思う。
自分の人生があと何年あるかわからないが、この素晴らしい人生をできる限り、許される限り、生き続けたい。ただ自分はあまりにも忙しすぎるので、死んだときは、自分が死んだこともわからないような状態になるんじゃないかと思っているけどね。

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