業績は右肩上がりで、コロナ以前の2019年比で見れば、「九段靖国通り店」が約150%、「横浜日本大通り店」が約130%、「西新宿駅前店」が約110%に着地する。客層も若返りを見せ、さくら水産のボリューム層が50~60代に対して、魚がイチバンは30~40代に推移するという。
一方で、実店舗を訪れて気になったのが、新旧の業態で“似通っているメニュー”が散見される点だ。
代表格の「刺し盛り5種(1648円)」や「握り寿司5貫盛り(878円)」を筆頭に、逸品の「蟹味噌甲羅焼き(988円)」や、揚げ物の「生あじフライ(548円)」など、さくら水産と内容量や価格が同じメニューが散見される。ランチのラインナップも重なるメニューが多く、豊洲直送の素材を加工調理するオペレーションも両ブランドに共通する。
つまり、魚がイチバンは高付加価値をコンセプトに掲げているとはいえ、両ブランドともにメニューの価格帯や品質は大差ないと言える。業態転換による増収はどこから生まれたのか。

増収のポイントは“店内の明るさ”
まず大きいのは、分かりやすく屋号を変えた点だ。
前編で既報したが、近年のさくら水産は、破格なブランドイメージが足枷になっていた。慢性的な物価や人件費の高騰、大人数での飲み会需要の減少など、薄利多売が機能しなくなるなか、直近10年は高付加価値を押し出す路線に舵を切る。しかし、「さくら水産=500円ランチ」という印象が強烈がゆえ、リブランディングが浸透せずに苦戦を強いられた。
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