解散・上場廃止宣言から一転、上場維持--マザーズ最古参銘柄、メッツのジェットコースター的軌跡

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バランスシート上も、2億6000万円の現預金のほかは、宅地建物取引業の営業保証金1000万円、オフィスの入居保証金などの返還請求債権くらいしか換金性のある資産はないが、有利子負債はゼロ。

これ以上事業を継続しても現預金が減るだけだから、解散して残余資産を株主に分配する、というのだから、潔いといえば潔い。

ちなみに、メッツが有利子負債を背負ったのは、西麻布の物件を保有していた08年3月期から10年3月期までの3期間だけ。自己資本比率はこの3期間以外はほぼ100%に近い水準を維持している。

上場時の公募で調達した65億円と、05~08年に不動産事業で稼いだ15億円の合計80億円の大半を不動産事業の損失処理で失ったが、それでも債務超過にはならない、強固な財務体質が上場時の公募で形成されていたからこそ、法的整理を使わず、解散という形での手仕舞いが可能になったといえる。

さらに見方を変えると、投資家から集めたおカネがあったおかげで、不動産に融資をつけた銀行は100%の回収に成功したともいえよう。

倒産ではなく、解散で上場廃止になるケースは極めてまれだが、過去に例がないわけではない。直近の事例は1999年10月に上場廃止になった中堅繊維商社の立川。5期連続赤字で累損は16億7000万円に膨らんでいたものの、それでも純資産は32億円もあり、有利子負債もゼロ。自己資本比率は実に83.2%だった。

スポンサーの登場で、一転上場維持へ

ところが、その後事態は急展開する。今年1月30日開催の臨時株主総会で解散を決議し、2月14日には上場廃止となるはずだったメッツは、臨時株主総会開催4日前の1月26日に上場廃止を撤回した。スポンサーが登場したためだ。

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