解散・上場廃止宣言から一転、上場維持--マザーズ最古参銘柄、メッツのジェットコースター的軌跡

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不動産事業でよみがえり、不動産事業で体力落とす

05年からはセキュリティシステムの単品売りだけでなく、自ら改装対象の不動産を取得、改装して転売する不動産事業も手掛けるようになり、事実上、不動産事業が主要事業になる。折からの不動産バブルも追い風となり、06年3月期以降は売上高、利益ともに大きく底上げされた。

07年6月には、東京・西麻布の1100坪の土地を約70億円で取得。購入原資はみずほ銀行からの50億円の借り入れと、不動産事業で稼ぎ出した20億円の自己資金だった。

不動産事業が業績に貢献したのも08年3月期が最後。09年3月期、10年3月期は売上高はほぼ保有不動産から上がる賃料収入のみとなり、大きく売上高を落とす。

70億円で買った西麻布の1100坪の土地は、10年7月に約39億円でテレビ朝日に売却され、同年9月までにすべての保有不動産の売却が完了するのだが、10年3月期、11年3月期の2期で処理した不動産の含み損は、実に60億円に上った。

それでもメッツが債務超過に陥らなかったのは、不動産の取得に相当額の自己資金を投入していたからだ。西麻布の物件も50億円の借り入れは約定弁済によって40億円弱まで減っていたため、その物件の売却で完済ができた。

借金こそ残らなかったが、すべての物件の売却で賃料収入もなくなり、今12年3月期は第3四半期(11年4~12月期)まで売り上げ計上はわずか15万円という状況だ。

上場時の公募で形成された強固な財務体質

メッツが”解散宣言”を出したのは、11年4~9月期(上期)決算発表と同日の昨年11月14日。人員削減は実施済みで、社員数はわずか2名。販管費は1カ月に1000万円くらいしかかからない。

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