解散・上場廃止宣言から一転、上場維持--マザーズ最古参銘柄、メッツのジェットコースター的軌跡
スポンサーに名乗りを挙げたのは、千葉で産廃事業会社を経営する傍ら、不動産賃貸事業も手掛ける吉野勝秀氏。傘下企業の中には、ジャフコの出資を受け、上場準備をしていた会社もある。
吉野氏は、とりあえず公開買い付けを通じて創業オーナーの保有株を引き取っただけで、今のところ資本増強などの計画は出ていない。
上場の際、株主が投入した資本のおかげで銀行は全額回収できたということは、逆に言えば、株主だけが損をしたということになる。スポンサーが現れたことで既存株主はリカバリーのチャンスを得たことになるから、その意味では、新スポンサー登場は歓迎すべきこと、と言っていいだろう。
2月28日、メッツの筆頭株主が55.58%を保有する吉野氏に移り、東証からは実質的存続性の喪失に伴う猶予期間銘柄に指定された。15年3月期までに、新規上場審査基準をクリアする必要があるが、逆の言い方をすれば、3年間の猶予期間が与えられたとも言える。
公開買付届出書には吉野氏が描いた今後の事業計画も記載されている。中古物件を買ってリノベーションし、転売するという従来のビジネスモデルを踏襲したまま、13年3月期は10億円、14年3月期には25億円の売り上げの計上が可能だとしている。
金融機関からの信用が厚い吉野氏がスポンサーに付けば、中古物件の取得資金調達がスムーズになり、「物件を買えない」から「売り上げ計上ができない」という悪循環を断ち切ることができる、というロジックである。
喫緊の課題は、1億円の売上高計上
ただ、まだ喜ぶのは早い。あまり知られていないが、東証マザーズの上場廃止基準には、売上高基準というものがある。1年間の売上高が1億円に満たない場合は、上場廃止になる。