トリキの会社もロイホの会社も大失敗した「チキンバーガー店」。日本でなぜか流行らない“死屍累々”の市場で善戦する店の正体

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

マムズタッチはターゲットを明確に「若者」、10代~20代の若年層に定めているのが見て取れる。

店内はカラフルなネオンが飾られ、30代半ばの筆者には少しまぶしい。オレンジ色を基調としたポップなデザインは落ちつきというよりもワクワク感を演出しているように感じる。実際に客層は20代が中心だった。

若者に刺さる店づくりを行い、その世代の中でしっかりと話題をつくっているようだ。筆者のような、そこから外れた人間にはその話題が届かず「本当にはやっているの?」なんて疑念を持ってしまうのだ。

マムズタッチ
ネオンサインがまぶしい店内。韓国アイドルのポップも若い客を意識しているようだ(筆者撮影)

1号店がある渋谷は若者の街。次に出店するのは、やはり若者の街である原宿だという。さらなる候補地は下北沢、新宿、池袋だという。新宿、池袋はターミナル駅としてマーケット全体が大きい街だが、そこに下北沢が並んでくるのは、明らかに若者を意識しているのだろう。

ただし、今度の出店計画を見るにマムズタッチは若者向けの店としてとどまるつもりはなさそうだ。まずは若者の中でブランドの地位を確立し、そこから他の世代へ波及させていくのではないか。

「TikTok式」で全世代に波及?

若者を起点に全世代に広がっていった商品やサービスは多い。TikTokなんかはまさにそうで、黎明期は「女子高生がダンスしているSNS」と言われていたものの、今では中高年も見るようになっている。

最初は若者の中で話題になり、やがて若者のトレンドを体験したい上の層が興味を持ち、徐々に波及していく。アーリーアダプターの若者は離れつつも、全世代に浸透していく流れだ。

マムズタッチは今のところは若者の街を中心に出店を進めるようだが、これがうまくいけば郊外やビジネス街など、異なる層の立地にも展開していきそうだ。実際に、横浜、川崎、埼玉といった東京近郊エリアでは、小型のフランチャイズ店舗での展開を予定しているという。

一方で、他のチキンバーガーブランドの多くは最初からターゲットを小さな子どもから高齢者まで、老若男女、幅広くとってスタートしていた。全国に多くの店舗を展開する大手だからこそ「ターゲットを狭める」という発想は出にくかったのかもしれない。そのため誰のための店なのかがぼやっとしてしまい、思うような展開ができていなかったのではないか。

難攻不落と思われた日本のチキンバーガー市場に、緻密なターゲット戦略で着々と攻め入るマムズタッチ。「韓国No.1チキン&バーガーブランド」の名に恥じない展開を期待したい。

【もっと読む】絶好調「鳥貴族」の陰で大赤字、黒歴史と化しつつある「トリキバーガー」。味よし、値段もよし! なのに盛大に失敗した”本質的な理由” では、大失敗に終わった「トリキバーガー」の現状や、敗因について、フードスタジアム編集長の大関まなみ氏が詳細に解説している。
大関 まなみ フードスタジアム編集長/飲食トレンドを発信する人

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおぜき まなみ / Manami Ozeki

1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月より飲食業界のトレンドを発信するWEBメディア「フードスタジアム」の編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100人の飲食店オーナーを取材する。
Instagram:@manami_ohzeki

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事