
犬たちの屈託のない明るさ
幼いころから、ヘレン・ケラーの世界は動物たちに支えられていた。
1882年、生後1歳半のときにかかった原因不明の病でケラーは視力と聴力を失った。けれども、8歳になるころには、すでに家族の飼い犬に守られていると感じていた。親戚へ宛てたこんな手紙がある。「ジャンボはとてもたくましく、忠実な犬です。夜もわたしたち家族を守ってくれます」。
彼女の教育に尽くした、パーキンス盲学校卒業の家庭教師アン・サリヴァン・メイシーの功績は広く知られているが、犬たちもまたかけがえのない役割を果たしていた。
「わたしが多くの犬たちとすてきな関係を築けたのは、その屈託のない明るさのおかげです」と、ケラーはのちに振り返っている。「たいていの犬は、わたしが目も耳も不自由であることにすぐに気づきます。わたしが近づくと、つまずかないように気づかって立ちあがるのです」。
マサチューセッツ州ケンブリッジにあるラドクリフ・カレッジに入学したころには、ケラーの偉業は広く認められていた。在学中に自伝『わたしの生涯』を発表した彼女は、世界的な活動家、教育者、社会改革者としての道を歩みはじめる。
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