献身的な愛犬がヘレン・ケラーの生涯を支えた、「あたたかく、やさしく、陽気な犬たちはわたしの友であり、このうえない慰めです」

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キャンパスでは、“フィズ” の愛称で呼ばれた献身的なボストンテリアのサー・トーマスが教室まで寄り添い、足もとで静かに横たわっていた。これは、盲導犬の訓練が正式におこなわれる以前の話だ。

とはいえ、フィズはつねにおとなしくしていたわけではなかった。ケラーは愛おしそうに語っている。「とても愛情深くて、駆け寄って飛びついてくるから、わたしを倒してしまいそうなこともあるのです」。

3日間だけ視力を取りもどせたら何を見たいか

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1904年、ケラーは優秀な成績で卒業し、アメリカではじめて大学の学位を取得した盲ろう者となった。ケラーは、姿を見ることも声を聞くこともできない動物たちの動きがわかり、その喜びを感じ取った。

「いま、わたしは犬にふれました。草の上を転がっていた犬は、全身の筋肉と四肢に喜びをみなぎらせています。その姿を指先でとらえたかったから、クモの巣にさわるようにそっと手を伸ばしました」

ケラーは50代のとき、もし3日間だけ視力を取りもどせたら何を見たいかというエッセイを発表した。そこには、自宅にあるさまざまなもの、自然の色彩、ニューヨークの喧噪や芸術など、多くのものがくわしく書かれていた。なかでも、いちばんに挙げられていたのは、教師や友人、そして犬たちだった。

「忠実で信頼に満ちた犬たちの瞳を見つめたい。聡明で威厳があるスコティッシュテリアのダーキー、勇敢で思いやりがあるグレートデンのヘルガ。あたたかく、やさしく、陽気な犬たちはわたしの友であり、このうえない慰めです」

悲しみは長くつづき、
もう二度と犬は飼わないと
心に決めた。
けれども、誰もが
知っているように、
そのうちにまた
別の犬がやって来るのだ。
サラ・ベイダー

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プリンストン・アーキテクチュラル・プレス社の書籍編集者を経て、ファイドン社では編集主任を務めた。2010年には、検証済みの新旧の名言を集めたオンライン・ライブラリー「Quotenik.com」を立ち上げ、運営を続けている

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