新幹線の「コンセント」は、誰のものなのか 通路側の席から使うことは許される?

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ひかりの車両の変遷とともに、私の新幹線のコンセントへの気持ちの持ちようは変化していった。かつて300系や700系がひかり号の主流であった頃は、N700系に乗りこんで、「コンセントついてる!すごい便利だ!」といたく感動していた。それが今では、たまたま乗りこんだ車両が700系だったりすると、「そうだコンセントないんだった…」と少し残念な気持ちになる。「ない」が前提の状態から、「ある」が当然の状態に変化したということだろう。

このように、気持ちが変化し、利便性を活用するというよりも利便性の虜になってしまった私の新幹線による旅は、コンセントに充電器に差し込むことから始まる。流れゆく車窓を眺める私の手元には、充電中のスマートフォンがある。

これが通路側の座席だと話はちょっと変わってくる。2人席のうちの通路側、すなわちD席に座っている場合、自分が乗りこんだ時点で窓側にあたるE席に誰も座っていないときは、そそくさと充電器を取り出しセッティングを始める。隣の人がきたら片付けようと思いながら。しかし、すでに隣の席にどなたかがおられた場合、得意の充電セットを取り出すのはちょっと憚られる。

コンセントの「お裾分け」はアリ?

先日、東京駅から新青森行きのE5系「はやぶさ」に乗った。E5系もN700系同様、車端部と窓側にコンセントがある。はやぶさは全車両指定なのだが、計画無精の私が特急券を買い求める頃にはすでに窓側は満席で、かろうじて空いていたD席を指定した。

東京駅から乗りこんだ時点で、E席に人はおらず、これはしめた!と思いながら例によってスマートフォンの充電を開始した。それからおよそ5分後、上野駅で隣人は現れた。「すみません、今片付けます」とおろおろする私に、隣人は「座席変わりましょうか」とのたまったのだった。申し訳なさ半分、ありがたさ半分で私はこの隣人の提案のままE席へと移動した。これはあくまで特殊な事例で、私自身初めての経験だった。

3口タップは旅のお供に必須だ

ところで、私は旅に行くとき、1つのコンセントを3つに増やす3口タップを必ず荷物のなかに忍び込ませている。新幹線においてこれを利用すれば、窓側に座ろうとも通路側に座ろうとも、コンセント問題は解決できる。窓側から通路側の座席の人に、まるで古き良き鈍行列車の旅でみかんのお裾分けをするように、「コンセントいかがですか?」と提案することもできるし、通路側から窓側の座席でコンセントを使っている人に向かって、「わたしこのようなものを持っているので、使わせてもらえますか?」と申し出ることもできる。もっとも、小心者の私にこんな提案はできるはずもないのだが。

ちなみに北陸新幹線のE7系、W7系は全席にコンセントが用意されているので、小心者かつコンセントを使いたい自分には大変ありがたかったりする。

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