
「1人親」として、マタギと仕事、育児に奮闘
マタギ発祥の地として知られる秋田県北秋田市の阿仁地区に生まれ育った松橋吉太郎さん(92歳)は、人生の大半をマタギとして生き、熊獲りへ執念を燃やし続けてきた。
82歳のとき、マタギを引退して猟銃所持許可証を返納。本業の林業は88歳まで続けて、引退。90歳で、ついに自動車免許も返納した。

こうして松橋さんの老後が始まった。
北秋田市の中でも人口減少、高齢化が進む阿仁地区では、住民の足は老若男女問わず、ほぼ車である。山に行くことが日常だった松橋さんだが、車がなければそれもできない。だが、「できねぐ(できなく)なったことは仕方がない」と、松橋さんは明るく笑う。
その笑顔の通り、マタギも山の仕事もやり切って、車も手放した松橋さんの「92歳、男の1人暮らし」は、衣食住足りてなんだかとても楽しげなのである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら