瀬戸際のヨーカ堂、待ったなしのテコ入れ コンビニ好調なのにセブンが業績下方修正
並行して、提携している食品スーパーとの連携も強化。セブン&アイグループは、ダイイチ(北海道)や天満屋ストア(岡山)、万代(大坂)といった各地のスーパーと業務提携をしている。イトーヨーカ堂の場合、地方は都市圏と比べ食品の販売比率が高い。だが地域ごとに好まれる食材をきちんと品ぞろえできておらず、不振に陥る店舗も散見された。そこで提携先のスーパーのノウハウを生かす。たとえばダイイチとは、地元ならではの食材の仕入れを共通化することで、業績が改善する店舗が出てきているという。
上期の赤字分を埋め、通年で10億円の利益を出すには、下期だけで100億円をたたき出す必要がある。ハードルは非常に高いように見えるが、村田社長は「100億円は当たり前」と強気だ。そこまで言い切る理由の一つが、セブン&アイが総力をあげて取り組んでいるオムニチャネルの導入だ。
オムニチャネルとは、インターネット通販で購入した商品を、近隣の実店舗で受け取りや返品が可能になる仕組みのこと。セブン&アイの場合、イトーヨーカ堂をはじめ、西武百貨店やロフト、赤ちゃん本舗などの商品をネットで購入し、セブン-イレブンで受け取ることが可能だ。
本格稼働は11月以降だが、すでに10月からプレオープンをしており、その効果が早くも出てきているという。「10月なんかもすごくいい(数字が出ている)。イトーヨーカ堂にこんな商品があったのか、という宣伝効果がものすごくある。商品をネットで見て、店に行こうという流れが出てきた」(村田社長)。
コンビニは逆に上方修正
一方で、主力のコンビニは快走が続く。上期のセブン-イレブン・ジャパン単体の営業利益は5年連続で過去最高を記録した(1228億円、前年同期比6%増)。関東と関西で味付けを変えるなど、イトーヨーカ堂に先んじて地方の嗜好に合わせた総菜を拡充した効果もあり、PB商品「セブンプレミアム」の売り上げが伸びたほか、入れたてコーヒーの販売も堅調に推移。ドーナツなど新たな商材も、業績の牽引役となった。
ライバルのローソンやファミリーマートも、1店あたりの1日の既存店売上高が前年同期と比べてそれぞれ1.1%増、0.9%増と堅調だが、業界トップのセブン-イレブンは3.2%増と伸び幅が大きい。営業利益見通しはイトーヨーカ堂とは対照的に30億円増額し、2350億円へ上方修正。ファストフードなど独自商材の拡充が奏功し、米国でのコンビニ事業も好調だ。だがそれでもグループ全体の下方修正は避けられなかった。
セブン&アイグループには、イトーヨーカ堂に限らず、百貨店のそごう・西武、通販事業のニッセンホールディングなど、ほかにも業績低迷が続いている事業が複数あり、リストラを含めてそれぞれが浮上を急ぐ。各社とも “お荷物”からの脱却は待ったなしだ。
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