なぜ若者は結婚しないのか?「金がないから」説を裏付ける明確な根拠

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そういう条件で絞り込みをすればするほど、対象の男性の数は少なくなり、男性は経済強者なら恋愛弱者でも結婚できる反面、経済強者を希望する女性が全員その希望をかなえることはできなくなります。

年収条件を下げれば相手はいますが、当の女性は条件を下げることをよしとはしません。同時にそれは、条件検索にもならない経済中間の男性が大量に余ることになります。結果、中間層以下の未婚率だけが上昇します。それが冒頭に申し上げた、児童のいる世帯年収300万~500万円の中間層帯で10年間で66%減という大幅激減につながっているのです。

そんな羽目になるくらいなら年収300万円同士で世帯年収600万円として結婚生活を運営すればいいじゃないという意見もあります。まさにその通りなのですが、結婚とはきわめて個人的な案件です。個人が個人の最適化を図ろうとすればするほど、全体最適化とかけ離れたものになります。

かくして、経済力も恋愛力も中間な層は、男は「金がないから結婚できない」と言い、女は「適当な相手(年収条件)との出会いがないから結婚できない」と愚痴を言うばかりになります。

的はずれな少子化対策

日本の婚姻減は中間層の婚姻減に尽きます。この際、経済強者は放っておいても構いません。恋愛力があろうとなかろうと結婚していくでしょう。しかし、今やられている少子化対策は、すでに結婚できている経済強者夫婦に対する厚い支援ばかりで、豊かな者はより豊かになるという内容です。これでは出生数は絶対に増えません。

政府は賃上げばかり口にしますが、賃上げの恩恵もまた経済上位層に集中します。つまり、上位層と中間層の格差がより広がるだけです。すでに、結婚も出産も贅沢な消費化していますが、このままでは、結婚も子育ても「貴族の特権」と化してしまうでしょう。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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