トランプ大統領「海外撮影の映画に関税」に慌てふためくハリウッドにほくそ笑むワケ
そもそも、これは主に、映画とテレビの撮影で生計を立てる人たちが多数いるロサンゼルスの問題。自分の人気がない街で起きていることだ。だが、その街に住み、自分を支持してきてくれた数少ないハリウッドセレブのジョン・ヴォイト(アンジェリーナ・ジョリーの父親でもある)に話を聞いてみたところ、「これは使える」と思ったのではないか。
ヴォイトは、先週末、製作パートナーのスティーブン・ポールと一緒にトランプの別荘であるマー・ア・ラゴを訪れ、アメリカに撮影を呼び戻すための複数の計画をトランプに提案した。その中には連邦政府主導の優遇措置など(現在、アメリカでは、州による優遇措置はあっても、国としてはない)複数の項目があり、あくまで“場合によっては”関税を課す可能性も含まれていたという。
ハリウッドは踊らされた?
トランプは、この言葉に反応し、あえて全体像を語らず、ここだけを取り出して、ハリウッドを脅したのだろう。そしてハリウッドはまんまと引っかかったというわけである。
そもそも、海外で撮影するすべての映画に関税をかけるなど、不可能なこと。トム・クルーズの来日で話題を呼んでいる『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』にしても、『007』や『ワイルド・スピード』シリーズにしても、世界規模でアクションを展開するのが大きな魅力であり、そのために300億円から400億円以上もする予算をかけているのだ。
逆に、ギリギリの予算で実現させているインディーズ映画にとって、税金優遇措置のある場所に行く道を閉ざされることは、命取りになる。トランプが言う関税案は、映画をクリエイティブ面でもビジネス面でも抑圧し、文化を危機に陥れる。
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