ドナルド・トランプが表面的には魅力的で人たらしなのは、彼がサイコパスだからかもしれない

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ドナルド・トランプの姪のメアリーは臨床心理士で、2020年に出版された『世界で最も危険な男 「トランプ家の暗部」を姪が告発』の著者でもある。

メアリーは有名な叔父のファンではない。この著書で彼女は、サイコパスに備わっている数々の武器のなかでも最強のツールの特徴をよく物語っているエピソードを紹介している。その武器とは「魅力」だ。

2017年、メアリーはホワイトハウスで開催される親戚の集まりに招かれた。大統領に就任したばかりの叔父が戸口に立ち、到着したゲストに1人ずつ歓迎の挨拶をしていた。

そのときのことを、メアリーは次のように書いている。「彼は私を見ると驚いたような顔をして私を指しながら『きみにはぜひ来てもらうようにと、特別に言っておいたんだ』と言った」〔訳注 『世界で最も危険な男』(メアリー・トランプ著、草野香、菊池由美ほか訳)〕

そしてトランプは両腕を広げ、彼女をハグした。メアリーがトランプにハグされたのは、このときが生まれて初めてだった。

「これは彼がよくやる人心掌握の手だったが、その場その場に合わせて本気らしく言うコツを心得ているようだ。その言葉が本当でないと知っているだけに、私はなおさら感心させられた」〔訳注 同書より〕

面と向かって話してみると

トランプと直接会ったことのあるほかの人たちも、同様の経験をしている。

2017年初頭、世界有数の製薬会社のトップらがホワイトハウスに招待されたとき、これから楽しい経験が待っているとは、彼らは夢にも思っていなかった。

トランプはそれまで数週間にわたって、製薬会社は人命を救える薬に高すぎる価格を設定していると非難し、「殺人の罪を犯しながら罰せられていない」とSNSで攻撃していたのだ。そのせいで医薬品株が暴落し、株主たちは多額の損失をこうむっていたのだ。

ところが、いざホワイトハウスに出向いてみると、トランプが愛想よくホスト役を務め、みずからホワイトハウスと大統領執務室を案内してくれたので、彼らは驚いた。そのうえ、薬価高騰はあなたがたの責任だなどと非難することは一度もなかった。

それどころか、薬価の高さの一因は時代遅れの規制にあり、新薬承認手続きの簡素化を計画しているとまで明かしたのである。さらにトランプは説教するどころか、彼らの話に耳を傾けた。

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