味の素と日清食品、海外展開で「すれ違い」 40年の歴史に幕、ライバル登場も一因?

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ブラジルの小売り店に並ぶ、日清・味の素の合弁によるラーメン

40年間の歴史に終止符が打たれた。味の素と日清食品ホールディングスは、ブラジルに本拠地を構える、日清味の素アリメントス(NA社)の合弁解消を発表した。NA社には両社が50%ずつ出資していたが、味の素が全持ち株を325億円で売却し、10月末に日清の100%子会社となる。

NA社は即席麺の製造・販売を行っており、1965年に台湾出身の経営者が設立した企業が前身である。1972年に味の素が、1975年に日清食品(当時)が出資し、両社の合弁となった。日清が開発・生産を、味の素が営業・販売を担い、ブラジル即席麺市場の65%を占めるまでに成長。南米最大の人口を誇る同国では、年間約24億食、世界10位の需要があるとされる(世界ラーメン協会推定)。

”別れ話”は日清から

“別れ話”を持ちかけたのは日清のほうだった。2014年12月に「NA社の今後について協議したい」と味の素に提案。一時は持ち分比率を日清51%、味の素49%とし、NA社を日清に連結する妥協案も出されたという。

日清は「10年前からNA社の完全子会社化をもくろんでいた」(IR担当者)。同社は25年に海外売上高比率50%超えを目指す(2014年度は約20%)など海外強化を打ち出している。東南アジアや欧州での事業が営業赤字にあえぐ中、NA社は2014年度に約25億円の営業利益をたたき出した。稼ぎ頭である中国の33億円に次ぐ、重要な拠点だ。日清によると、買収で、のれんが最大500億円ほど発生する可能性もあるという。

また「意思決定を速くする狙いもある」(日清)。これまでNA社の社長は日清と味の素が3年ずつ交互に出すなど、どちらが主導権を握るかはっきりしない部分があった。

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