即席麺でナイジェリアとインドに出る旨み 味の素、東洋水産が海外展開で強力タッグ

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会見開始前、親しげに会話を交わす味の素の伊藤社長と東洋水産の小畑社長

「世界の即席麺市場は年間1000億食を超す巨大マーケット。味の素が持つ販売・マーケティング力と東洋水産の生産技術を合わせて、よりスピーディーに展開していきたい」

12月18日、味の素と東洋水産はナイジェリア、インドにおける即席麺事業の合弁会社設立を発表し、東洋水産の小畑一雄社長は会見でこう述べた。合弁会社の出資比率はナイジェリアで味の素51%、東洋水産49%、インドは味の素49%、東洋水産51%という割合だ。

味の素の伊藤雅俊社長は、「対等なパートナーとして協働しながら、スピーディーな経営判断のために各国の”リーダー”を明確にしている」と説明。ナイジェリアは2015年度、インドで16年度の販売開始を予定し、発売から10年後にはナイジェリア全土、インドの南部4州でそれぞれシェア15%、約5億食の販売を目標としている。

急げ、取り込め、新興国需要

両社の社長がともに”スピーディー”を強調するのは、世界の食品大手による新興国への進出が相次いでいるからにほかならない。

味の素と東洋水産は、日系食品メーカーの中でも海外展開が進んでいる。味の素は現在26カ国に現地法人を持ち、海外売上高比率は約4割(12年度実績)。一方、東洋水産の海外売上高比率は2割弱(12年度実績)と味の素に比べれば小さいが、米国の即席麺市場で約7割、メキシコの即席麺市場で9割と圧倒的なシェアを誇る。

海外に一定の足場を築く2社が、互いをインドとナイジェリアでの販売拡大に向けたパートナーに選んだ背景には、両国で即席麺市場が急速な伸びを見せているからだ。

世界の即席麺の総需要は近年堅調に拡大しており、中でも新興国の伸びは著しい。インドではここ5年間で約3倍の約44億食に増加した。ナイジェリアも世界平均を上回る伸びで推移しており、アフリカ最大の年間19億食が消費されている。

総需要が拡大しているものの、1人あたりの年間消費量を見ると、インドは年間でわずか4食、ナイジェリアで12食と、世界でもっとも多いインドネシアの58食、日本の43食と比べると圧倒的に低いことがわかる(図参照)。

そのため、市場の伸びしろは十分にあると見込める。加えて、現在のインドの人口は12億人、ナイジェリアは1.6億人だが、国際連合の人口推計では、50年にそれぞれ16億人、4.4億人になると予想されている。人口減少に伴う市場の縮小で海外進出を余儀なくされている日本企業にとって、新興国は販売拡大に向けた理想的な市場だ。

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