
建物内部。階段部分の壁面には心が和む河野ルルさんのイラスト(写真:筆者撮影)

就労支援事業者が作って販売しているヴィーガンクッキー *2023年に撮影。現在とは状況が異なる可能性があります(写真:筆者撮影)
改修費用は確かにかかった。
「新築以上に多額の費用をかけて廃屋を改修するなど大家としては狂っているとよく言われます。改修して5年、10年で回収しようとするなら収支は絶対に合いません。
でも、ここが30年使われ続ける場になるとしたらどうでしょう。長くやり続けると、どんどん味が出て他にないものになっていきますし、人間関係もどんどん広がります。
そのために私たちはずっととろ火で小豆を煮続けるように毎月1回マルシェを開催。火を止めずに少しずつ場をチューニング、小さなテコ入れをし続けています。そうすれば宣伝・広告費は要らないし、年に1度無理してお祭りをしなくても価値は維持される。場を作ったものはそれを維持する責任があると思うのです」
マルシェがつむぐ新しい関係性
マルシェは施設開業後の2年間、毎月欠かすことなく開催され続けており、結果、雨が降ろうが、極寒の日だろうが変わりなく人を集めるようになった。ここに来れば知っている人がいて、新しい友達ができると特に高齢者にとっては欠かせない場になっているのだ。

マルシェ時の様子。「月に1度、行く場所があるのは高齢者にとってはちょうどいいタイミング。これが毎週だと行けないこともあるし、3カ月に一度では空きすぎる」と小川さん(写真:オルガワークス提供)

11時くらいに来て顔見知りと話をし、買い物をして夕方帰宅とここで1日過ごす人もいるそう(写真:オルガワークス提供)
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