時給480円→海外セレブ担当!「日本人ネイリスト」の波瀾万丈な人生 母を亡くし20代で単身スペインへ 異国で這い上がった彼女の生き方

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特に世界的歌手シャキーラとは、彼女がスペインを離れる2024年までの間、専属ネイリストとして関わった。冒頭で書いたBLACKPINKに関しては、キラネイルズのインスタグラムを見た関係者から直接、声がかかったのだという。

オープンから5年が経った2019年には、建物の古さで営業が困難になり、知り合いの美容室の2階へ移転した。

自分の価値は自分で上げる

現在スペインでは、あらゆる場所でネイルサロンを見かける。20ユーロ(約3200円)ほどの価格設定をしているサロンが多いなか、キラネイルズの料金は、95ユーロ(約1万5200円)と高価格だ。それでも予約が絶えない。沙弥香さんは質で勝負する。

ネイル施術中の沙弥香さん
施術中の沙弥香さん。丁寧かつ素早い動きであっという間にネイルを施す(筆者撮影)

とはいえ、「撮影業界ではネイリストの立場は弱い」という。

撮影現場におけるネイリストの日当相場は約250ユーロ(約4万円)。現在、沙弥香さんは1日の報酬を600ユーロ(約9万6000円)に設定している。

「自分の価値は自分で上げないと。誰も認めてくれないですから」

自身の価値を上げるポイントは「怒ること」だという。

「スペインでは、怒らないと、相手は動いてくれないし、報酬も上がっていかない。言いたいことを言うスペイン人のキャラになりきります。そもそも外国人だからナメられる。日本のルールを持ち込んだら負けてしまいます。フリーランスを始めてからは、ずっと喧嘩してますよ(笑)」

撮影の仕事は、かなりシビアだ。次に呼んでもらえないと二度とチャンスが巡ってこないかもしれない。プレッシャーはかなりのものだという。「気をつけていることはありますか」と尋ねると意外な答えが返ってきた。

「すんごい、ペコペコしてます」と沙弥香さんは笑う。

「誰よりも腰が低いと思います。『キャー! 久しぶりぃー』とか、『また呼んでねー』って。もうペコペコ、ペコペコ」

もちろんそれだけではない。

「セレブリティと仕事をする時は、『余計なことは喋らない』が一番いいような気がしています。これから撮影に入り集中して気持ちを高めないといけない相手には、できるだけリラックスしてスタートしてもらえるように、心がけています」

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