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時給480円→海外セレブ担当!「日本人ネイリスト」の波瀾万丈な人生 母を亡くし20代で単身スペインへ 異国で這い上がった彼女の生き方

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「行く先々で、門前払いされるんです。技術も見ないで『アジア人いらない』『労働ビザない人は無理』って。断られ続けて、もう悔しくて」

「1位」に取り憑かれて…

閉ざされた扉を自ら開くため、沙弥香さんは決断した。

「大会にでよう! もうこれは、自分で名前を売るしかない。ネイルの大会で優勝できれば、どこかの会社が採用してくれるはず」

ここから「超絶ポジティブ」の本領が発揮される。

お客さんの施術をする沙弥香さん(筆者撮影)

2009年、準備もせず初めて参加した大会で、6位に入賞。「初出場でトップ8に入れた。これはいける」と自信がついた。翌年、練習を重ねて挑んだ大会では、2位に躍進。大会後には、自分のスコアを詳しく分析し、改善すべき点を洗い出した。

その後も複数の大会に参加するが、頂点に立てない日々が続く。業界のコネクションがない沙弥香さんは、とにかく圧倒的な技術力の習得に専念した。

2011年、大会に出たことがきっかけで月給1800ユーロ(約28万8000円)の正当な給料を支払ってくれるサロンからオファーを受け、移籍することに。すぐにお店を任され、店長として働いた。しばらく経ったある日、一人の日本人女性が新たなスタッフとして加わった。技術を習得して間もない彼女に指導する日々の中、二人の間に不思議な絆が生まれていった。

彼女こそが、のちに最強のパートナーとして数々の大会制覇を共に目指すことになるヨウコさんだった。

「彼女とは、初めから波長が合いました」と沙弥香さんは当時を振り返る。

「私は感覚でできてしまうタイプなので、『なぜこの部分はこうするのか』など人に説明するのが下手なんです。それを彼女は、じっとやり方を観察して改善できるタイプでした。それでどんどんうまくなっていくの。しかも、『沙弥香の癖は、よく見てきた私が一番分かるから直せるよ』と言ってくれて、大会で1位を取るために、技術を徹底改善していきました」

ヨウコさんがサポートする形でモデルとなり、二人三脚であらゆる大会に出場した。「また来てるよ、あの二人」と言われることもあったという。

「あの頃は、『1』という数字に取り憑かれていました。日常でも自分から『1』に近づこうとして。ロッカーも駐輪場も全部『1番』を選んでいました」

2014年、念願の日が訪れる。

STSビューティ国際ネイル大会でアクリルとジェル両部門において、日本人初の優勝を果たした。同年、マドリードの国際大会でも栄冠を手にする。

大会でヨウコさんにマニキュアを施す沙弥香さん(提供:キラネイルズ)

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