韓国人がよく口にする「国格」という言葉に見る≪映えの文化≫の病理。梨泰院の雑踏事故や務安国際空港の事故など”安全軽視”姿勢が招く惨事

「イベント政治」が生んだ悲劇
「(2030年開催で誘致していた)釜山万博が実現しなくてよかった」と考えている韓国市民は多い。ところが、「イベント政治」が実現してしまったために生まれた悲劇もあった。南西部・全羅北道で、158カ国・地域から4万3000人の参加者を集めて2023年8月1日から12日まで計画されたボーイスカウトの祭典「2023世界スカウトジャンボリー」だ。
韓国が政府を挙げて迎えた国際大会が、かえって大混乱を招いた。予想を超える酷暑と劣悪な環境に危機感を覚えた代表団が次々に撤収。会期は1日短縮され、11日にソウルで開かれたK-POPコンサートで幕を閉じた。
現地の野営地は「セマングム」と呼ばれる、全羅北道の広さ約8.8平方キロに及ぶ広大な干拓地だった。日中に35℃前後に達する猛暑を避ける日陰がない上、シャワーやトイレが不衛生で用意された数も不十分だと指摘された。食事や飲料水も不足した。ぬかるんだ土地にわいた大量の虫に刺され、肌のかぶれなどに苦しむ参加者が続出。
連日、多数の熱中症患者が出たこともあり、最大規模の4000人以上を派遣していた英国代表団が4日には早々に現地から撤収。アメリカやシンガポールなどの代表団も後を追った。韓国政府で行事を担当した女性家族省は、台風6号の接近を理由に残りの代表団も現地から離れることにしたと説明した。
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