iDeCo「改悪」と騒ぐ人が知らない本当のお得度。NISAよりまず優先すべき理由は?「節税分<課税分」となる分岐点を年収別に試算
――使う側からすると確かに「改悪」ですが、あくまで限られたケースで、そこまで気にしなくていいということなのでしょうか。
そのとおりで、そもそも退職金を65歳で受け取れる人でないと「二重取り」できないわけです。65歳定年の会社は足元で3割ほど。このラッキーな人たちだけが使える仕組みだったということになります。
給料が下がらないまま65歳定年まで働けるうえ、おそらくそういう会社は退職金の額も大きいですよね。そういう恵まれた立場にいる人だけが節税メリットも「二重取り」できるというのがこれまでのルール。冷静に考えると、この人たちはちょっと得しすぎじゃない?という感じもします。
ですから前の制度とこれからの制度を比べると確かに「改悪」ではあるのですが、仕方ない面もあるかなと、私自身は考えています。
基本は「iDeCoファースト」で積み立てたいが
――iDeCoのメリットの大きさについてはよくわかったのですが、今世間でより注目度が高く加入者も多いのはNISAです。NISAとiDeCo、どちらの活用を優先すべきでしょうか。
まず根本的な違いとして、iDeCoは加入できる年齢が現行20~65歳で、NISAより狭い。また、iDeCoは会社員の場合月々に積み立てられる額が2万~2.3万円と、こちらもNISAに比べて小さいです。
一方で税制優遇は手厚いですし、あとは「60歳になるまで下ろせない」という仕組みが“浪費の抑止力”になる面もあります。NISAはいつでも売って崩せますが、iDeCoは老後向けの虎の子の資産として貯めていかなければならず、その結果、60歳になって助かる人も多いと思います。
なので基本はiDeCoファースト。あとは一人ひとりのシチュエーションを見ながらどこまでやるか判断していただきたいと思います。
例えば20代で毎月の家計も若干赤字が出ているような方だと、60歳になるまで下ろせないiDeCoに踏み出すのはちょっと危ないかもしれません。また30代、40代の方でもお子さんの学費などの負担が重い場合には、iDeCoをやっている場合ではないでしょう。
ただ途中で積み立てていくのがきつくなったら、そこまで積み立てたお金を下ろすことはできませんが、月々の拠出を中断することはできます。そのことは覚えておくとよいでしょう。
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