そういった環境下で、FRB(米連邦準備制度理事会)がメンツにこだわり12月に利上げを実施すれば、株価の下降トレンドは再び鮮明になるのではないでしょうか。
「錬金術」で上昇してきた米国株はいずれ下落する
チャイナショックが起こる8月まで、NYダウ平均を1万8000ドル前後で買い支えていたのは、米国企業の自社株買い、海外からの資金流入(日本や欧州などの資金)の、主に2つです。
これら2つのなかでも、とりわけ自社株買いが目立っていました。企業業績が冴えないなかで、2015年上半期の自社株買いは過去最高だった2014年を大幅に上回っているのです。
要するに、米国株は1株当たり利益がカサ上げされていて、もともと8月の暴落前までは割高な状態にあったわけです。その典型的な証拠として、米国株はここ数年、1株当たり利益の増益率が1ケタ台であったのに、株価上昇率は2ケタ台をキープしていました。
自社株買いによって株価が上昇し時価総額が増加すると、企業は資金調達がたやすくなります。そこで、ここぞとばかりに資金調達を増やし、その資金でさらに自社株買いをして株価を上昇させるという企業が米国内では増えつつあります。ぱっと見ただけで、胡散臭いネズミ講のような錬金術にも似ているのですが、このような錬金術はどう考えても続くはずがありません。
当たり前のことですが、この手の資金調達を繰り返すと、企業の負債が身の丈以上に膨らむことになるからです。米国の企業は収益が鈍化するかたわら、負債の蓄積が進んでいるというのですから、自社株買いは2016年には減少傾向に転じていくことになるでしょう。近い将来には、自社株買いは株価の下支え効果として期待できないということです。
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